稲垣俊也 Toshiya Inagaki

稲垣俊也 Toshiya Inagaki

東京芸術大学卒業。文化庁オペラ研修所修了。これまでに伊藤亘行、アルド・プロッティ、エウジェニオ・フルロッティ、レナート・カヴァリーニの諸氏に師事。1987年「第九交響曲」(大友直人指揮、東京交響楽団)のソリスト楽壇にデビュー。1989年『椿姫』のジェルモン役の歌唱が認められ“第3回グローバル東敦子賞”を受賞。バス・バリトンの逸材として一躍声楽界の注目を集めた。1988年『ジャンニ・スキッキ』ジャンニ・スキッキ役、『蝶々夫人』シャープレス役、『トスカ』スカルピア役、『売られた花嫁』ケツァル役、1989年『コシ・ファン・トゥッテ』グリエルモ役、『ラ・ボエーム』コッリーネ役、『祝い歌が流れる夜に』金沢公一役、1990年『リゴレット』スパラフチーレ役等、数多くのオペラに出演。とりわけ1990年『ドン・ジョヴァンニ』においては、その気品ある容姿とあいまって大好評を得る。1990年秋より文化庁派遣芸術家在外研修員として2年間イタリアにて研修。1992年パルマ・ヴェルディ国際声楽コンクール優勝、また研修期間中にイタリア主要歌劇場のオーディションに次々と合格。1992年7月シエナ音楽祭にてロッシーニ『イヴァノーエ』イズマエーレ役でイタリアオペラ界にデビュー。イタリア各地でリサイタルを催し、ラジオにも出演するなどの活躍の一方パルマ・ヴェルディ協会合唱団専属ソリストに就任する。

1993年にはパルマ・レージョ劇場「レクイエム」(ヴェルディ)バス・ソロ等に出演。日本でも『ボエーム』のコ ッリーネ、『ルチア』のライモンド、『トロヴァトーレ』のフェランド等で将来を期待される才能を示し、1994年 第22回ジロー・オペラ賞新人賞を受賞。1997年10月新国立劇場オープニング公演、團伊玖磨『建・TAKERU』 でタイトルロールをつとめる。1998年NHKニューイヤーオペラコンサート出演。2000年1月、新国立劇場公演 『ドン・ジョヴァンニ』にマゼット役で出演。2002年2月には二期会創立50周年記念公演宮本亜門演出『フィガロ の結婚』に、タイトルロールで出演し、喝采を浴びた。182センチの恵まれた体躯と力強く輝きのあるその声は、 とりわけ強い劇的表現を必要とするヴェルディ作品に威力を発揮し、その指向性はオペラのみならず「第九」「レク イエム」等のコンサート曲においても等しく、2001年4月G.ベルティーニ指揮東京都交響楽団に於ける演奏会を含 め、聴衆に深い感銘を与えている。二期会会員。

第60回定期演奏会 2005年4月24日横浜みなとみらい大ホール